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澤口 拓磨; 高井 静霞; 笹川 剛; 打越 絵美子*; 嶋 洋佑*; 武田 聖司
MRS Advances (Internet), 8(6), p.243 - 249, 2023/06
放射性廃棄物の中深度処分では、モニタリング用のボーリング孔内が適切に閉塞されているかを確認するための手法を事前に整備しておく必要がある。そこで本研究では、堆積岩地域を想定し、どのような埋戻し設計条件であればボーリング孔内が有意な移行経路とならないかを把握し、ボーリング孔閉塞に係る確認ポイントを明らかにするため、埋戻されたボーリング孔を有する水理地質構造に対する地下水流動解析を実施した。その結果、ボーリング孔や掘削損傷領域(BDZ)が移行経路とならないための条件として、ベントナイト系材料の透水係数を母岩と同等以下にすること、BDZにグラウトを充填することなどが示された。
北村 暁
JAEA-Data/Code 2020-020, 164 Pages, 2021/03
高レベル放射性廃棄物およびTRU廃棄物地層処分の性能評価に用いるJAEA熱力学データベース(JAEA-TDB)のうち、放射性核種溶解挙動評価部分(JAEA-TDB-RN)について、地球化学計算部分(JAEA-TDB-GC)を包含する形で更新を実施した。今回の更新では、従来の選定値が標準状態における反応の平衡定数(対数値log)だけであったのに対して、ギブズ標準自由エネルギー変化(),標準モルエンタルピー変化(),標準モルエントロピー(),比熱容量(),反応の自由エネルギー変化(),反応のエンタルピー変化()および反応のエントロピー変化()を追加することで、大幅な選定値の拡充を行うとともに、298.15K以外の温度における溶解挙動評価が実施できるよう整備が行われた。また、経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)がレビュー、選定および集約した鉄についての最新の熱力学データを取り込んだ。さらに、JAEA-TDB-GCと選定値の内部整合性を図るために、多くの反応のlogについて再計算を実施した。更新したJAEA-TDBを有効活用するために、PHREEQCおよびGeochemist's Workbenchといった地球化学計算コード用フォーマットを提供した。
北村 暁; 吉田 泰*; 後藤 考裕*; 澁谷 早苗*
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 27(2), p.58 - 71, 2020/12
高レベル放射性廃棄物および地層処分相当のTRU廃棄物の地層処分における地層処分システムの性能を評価するためには、地下水や緩衝材間隙水中における放射性核種の溶解度評価が必要である。その溶解度評価のためには、溶解度を制限する固相(溶解度制限固相)を選定する必要がある。本報告では、透明性の高い選定過程が示せるように、熱力学データベースを用いて溶解度制限固相の候補となる固相の飽和指数を算出することで溶解度制限固相を判断する選定手法を構築した。本手法では、飽和指数が大きい固相ほど溶解度制限固相の候補になることを基本とするものの、当該固相の生成や溶解度制限が現実的であるかどうかについて、文献調査により判断することとした。併せて、わが国における最新の安全評価報告書で定義された緩衝材およびセメント間隙水組成に対し、種々の組成を類型化した上で性能評価対象元素の溶解度制限固相を選定した。
杉田 裕; 谷口 直樹; 牧野 仁史; 金丸 伸一郎*; 奥村 大成*
日本原子力学会和文論文誌, 19(3), p.121 - 135, 2020/09
使用済燃料を直接処分するための処分容器の一連の構造解析を実施して、処分容器の必要な耐圧厚さの予察的な検討結果を示した。直線,三角形,正方形に配置された2, 3, 4体の使用済燃料集合体を収容するように処分容器を設計した。処分容器の胴体部分および蓋部分の必要な耐圧厚さを評価するため、使用済燃料集合体の収容スペースの離間距離をパラメータとした。この検討では、応力評価ラインの設定の妥当性や解析におけるモデル長の影響など、解析に関する技術的知識も得られた。そして、これらは、さまざまな条件下で同様の評価を実行したり、より詳細な評価を進めたりするための基盤として参考となるものである。
舘 幸男; 陶山 忠宏*; 三原 守弘
JAEA-Data/Code 2019-021, 101 Pages, 2020/03
TRU廃棄物や高レベル放射性廃棄物の地層処分を対象とした性能評価において、人工バリアであるセメントやベントナイト、天然バリアである岩石中での核種の収着現象は、核種の移行遅延を支配する重要な現象の一つである。収着の程度は一般的に収着分配係数(K)によって表され、バリア材や環境条件に応じて大きく変動するため、それぞれの条件でのKデータを取得し、性能評価解析では関連する不確実性も考慮して収着パラメータ値を設定する必要がある。TRU廃棄物の処分システムでは、高レベル放射性廃棄物で検討されるベントナイトや岩石に加えて、バリア材として利用されるセメント系材料への収着や、一部の廃棄物に含まれる硝酸塩等の化学物質が地下水に溶解して収着に影響を及ぼすことなどを考慮する必要が生じる。本報告書では、このようなTRU廃棄物の処分において考慮すべきバリア材料や、硝酸塩等の影響物質、評価対象核種の組み合わせを対象として、Kデータをバッチ式収着試験により取得した結果を報告する。バリア材としては、普通ポルトランドセメント硬化体、通水で劣化させた普通ポルトランドセメント硬化体、凝灰岩を対象とし、液性については、蒸留水や模擬海水とバリア材料との平衡液に加え、硝酸塩やアンモニウム塩を含む液性条件を対象とした。元素は、C(有機形態),C(無機形態),Cl,I,Cs,Ni,Se,Sr,Sn,Nb,Am,Thを対象とした。ここで報告する収着データの一部は、TRU廃棄物処分技術検討書の性能評価における核種移行解析に用いたパラメータである核種移行データセット(RAMDA: Radionuclide Migration Datasets)の一部として取得・報告されているものであり、ここでは、これらのデータ取得の方法, 条件, 結果の詳細を報告する。
北村 暁
日本原子力学会誌ATOMO, 62(1), p.23 - 28, 2020/01
高レベル放射性廃棄物や地層処分相当TRU廃棄物などの地層処分システムの性能を評価することを目的として、廃棄体が地下水に接触したあとの放射性核種の溶解および錯生成挙動を評価するために使用する熱力学データベース(TDB)が国内外で整備されている。本報告では、経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)が実施している国際プロジェクトを中心に、わが国および欧米各国で整備されているTDBを概説する。
北村 暁
JAEA-Data/Code 2018-018, 103 Pages, 2019/03
最新の熱力学データのレビューを行い、選定された値を高レベル放射性廃棄物およびTRU廃棄物の地層処分の性能評価に用いるための熱力学データベース(JAEA-TDB)に収録した。今回のレビューでは、(1)ジルコニウムの水酸化物および加水分解種の熱力学データについて、経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)が公開した熱力学データベースと比較しつつ熱力学データを選定した。また、(2)金属イオンのイソサッカリン酸錯体の熱力学データについては、最新のレビュー論文を基に、選定値のレビューと内部整合性の確認を行ったうえで採用した。さらに、(3)アルカリ土類元素、ウラン(VI)イオンおよび炭酸イオンから構成される三元錯体の熱力学データについて、文献情報を暫定的に追加した。そして、(4)地球化学計算用に整備された熱力学データベースとの統合を実現させた。選定値の内部整合性は著者が確認した。更新したJAEA-TDBを有効活用するために、PHREEQCおよびGeochemist's Workbenchといった地球化学計算コード用フォーマットを整備した。
水越 清治; 大島 総一郎; 島田 太郎
JAERI-Tech 2005-011, 122 Pages, 2005/03
原子力発電所の廃止措置における解体計画や廃棄物管理計画の観点から米国原子力規制委員会(NRC)が作成したNUREG報告書の110万KWe級参考原子力発電所の機器・構造物重量や放射能特性等の廃止措置に関する基本データを分類,整理し、国内商業用原子力発電所やJPDRと比較,検討した。その結果、参考原子力発電所(BWR)の機器・構造物重量データは国内商業用原子力発電所(BWR)に比べて放射性機器・構造物重量で約28,000トン、非放射性の建屋構造物重量で約124,000トン少ないこと、また、これらの重量の差異が廃止措置費用のおもに解体撤去費用に影響していることが明らかになった。さらに、参考原子力発電所のコンクリートの元素組成割合は放射化に影響を及ぼすB, Ni, Nb等の元素組成割合が国内商業用原子力発電所(PWR)やJPDRとの間で1桁以上の差異があること,これらの元素組成割合の差異は放射能濃度で23倍程度の差異となり、廃止措置費用のおもに、輸送,処分費に影響を及ぼすことが明らかになった。
NUCEF2001ワーキンググループ
JAERI-Conf 2002-004, 714 Pages, 2002/03
本報文集は、2001年10月31日-11月2日に開催された第3回NUCEF国際シンポジウム「NUCEF 2001」における基調講演論文,研究発表論文(口頭及びポスター)を収録したものである。今回のシンポジウムは1995年の第1回(報文集JAERI-Conf 96-003)及び1998年の第2回(報文集JAERI-Conf 99-004)に引き続いて開催されたもので、今回のテーマは「臨界安全性、分離プロセス及び放射性廃棄物処分に関する科学的基盤」である。基調講演及び研究発表は(1)臨界安全性,(2)分離プロセス,(3)放射性廃棄物処分,(4)TRU化学の各分野から計94件であった。
永野 哲志; 中山 真一
原子力バックエンド研究, 8(1), p.81 - 88, 2001/09
日本原子力研究所では、放射性核種の地中での動きを数万年のタイムスケールで予測するための研究として、ナチュラルアナログ研究及びTRU元素の熱力学データの取得を目的とした研究などを行ってきた。本稿は、これらの研究について、日本鉱物学会の依頼を受け、中高生向けに行った講演会の一部をまとめたものである。一般の人が容易に理解できるように、身近な現象を取り上げ、専門用語をなるべく使わないで紹介した。
高橋 知之; 加藤 和男; 木村 英雄; 松鶴 秀夫
JAERI-M 91-216, 31 Pages, 1992/01
本報告書は、「放射性廃棄物浅地層処分施設の安全評価」に関するIAEA協力研究プログラムで提案された最初の標準問題、テストケース1に関する解析結果を取りまとめたものである。なお、ここで使用した解析手法、並びに侵入シナリオの概念についても記述した。テストケース1では、2種類の異なる処分方式、即ちトレンチ処分及びコンクリートピット処分が定義され、2種類のシナリオ、即ち地下水シナリオ及び侵入シナリオが定義されている。本研究では、トレンチ処分方式を対象に、施設からの放射性核種の放出、不飽和層における放射性核種の垂直方向移行、飽和層における放射性核種の水平方向移行、飲料水経路による人間への被曝線量、建設及び居住・農耕サブシナリオによる侵入者への被曝線量について解析を行った。解析結果は、テストケース1においてIAEAにより指定された標準形式に基づいて示した。
小林 大志*; 佐々木 隆之*; 北村 暁
no journal, ,
イソサッカリン酸(ISA)共存下におけるウラン(IV)水酸化物(U(OH)(am))の溶解度を、水素イオン濃度指数(pHc = -log [H])およびISA濃度の関数として調査した。中性付近では溶解度がpHcに依存しなかった一方で、アルカリ性水溶液中では溶解度がわずかにpHcの増加とともに高くなった。溶解度のISA依存性が両対数グラフで傾き約2の直線となったことと併せて、支配的な溶存化学種はジルコニウム-ISA系で報告されているものと同じ化学形であるU(OH)(ISA)とU(OH)(ISA)である可能性が示唆された。これらの化学種の錯生成定数を実験値の最小二乗適合により求めた結果、適合結果が実験値をよく説明できることがわかった。
宮部 俊輔*; 前野 真実子*; 松原 一仁*; 冨安 かおる*; 大神 智有*; 北村 暁; 紀室 辰伍
no journal, ,
パラジウム(Pd)の溶解度に及ぼすイソサッカリン酸(ISA)の影響を実験的に調査した。pH 8.5と10.0の条件ではISA濃度の上昇に伴い、Pd溶解度の顕著な上昇が認められた。